自己紹介の場面「温泉が好きで全国踏破してます」とか「温泉ソムリエ持っています」という話をすると、ほぼ確実に聞かれる質問です。当たり前ですね、「私温泉に詳しいです」と言っているも同義なので。
これは額面通り真面目に答えようとすると、私にとっては少々厄介な質問なのです。
「あなたの好きな温泉は?」と聞かれるならよいのですが、おすすめを聞かれると「どんな温泉が好きですか?」とか「困っている症状ありますか?」と聞き返してしまいます。すると質問された方は頭に「?」が浮かびます。ご本人からすれば、そんな本気で聞いたつもりもないのに、面倒な質問をしてしまったと思われているかもしれませんね(笑)
回りくどくてすみません。これは私のいう「温泉」にはいろいろな意味が含まれるためです。思いつくままにちょっと挙げてみます。
・様々な特徴の源泉(色やにおい、温度、pHなど)
・源泉の適応症(「効能」とはいいませんのでご注意を)
・温泉郷の雰囲気(大きい温泉街があるとか秘湯とか)
・いい宿(鄙びて趣があるとかサービスがいいとか)
・景色がいい(海沿い?雪景色?)
・グルメ(いいバイキングの宿?地元の名産?)
・アクセス面がいい
要は何をもって「いい温泉」とするかは人によって違います。ちなみに私個人のこだわりは、①温泉郷の雰囲気や立地②宿の雰囲気とホスピタリティ③地元の特産を使用した美味しい料理です。他も拘りがないわけではないですが、優先度が低いということで。温泉ソムリエでこれだけ偉そうに語っておいて源泉について全然重要視してなくて笑えてきます。
私自身がそんななので、私は質問者に対するベストアンサーを返そうとして、つい好みを聞いてしまいます。ただし経験的には源泉を聞かれていることがほとんどです。ともすれば成分が濃くて温泉らしい色味や臭いのあるいわゆる強めなザ・温泉を好まれる方が多いので、そういった方には草津・万座温泉(群馬県)、有馬温泉(金泉)(兵庫県)、雲仙温泉(長崎県)といったところをおすすめします。相手が女性の場合は美肌の湯として月岡温泉(新潟県)や嬉野温泉(佐賀県)をお勧めしたりもします。
さて、温泉にもいろいろ観点があることがわかっていただけたと思うので、今回はあくまで私の独断で決めたテーマから温泉トップ3をやらせてもらいます。もちろん私の経験した範囲内で、多少の思い出補正が入ることもご了承ください。個別にはまた別の回にでも少しずつ触れていければ。
好きな源泉トップ3
1位:山の神温泉(岩手県)
2位:奥津温泉(岡山県)
3位:北郷温泉(宮崎県)
コメント:私は高温でも平気ですが、どちらかというと人が少なく落ち着いていて、温度低めでながーく湯船に浸かっていられる、かつ美人の湯と言われる弱アルカリ性の源泉が好きです。なので海辺というよりは山間にある温泉を気に入る傾向がありますね。

雰囲気が好きな温泉街トップ3
1位:鉄輪温泉(大分県)
2位:城崎温泉(兵庫県)
3位:黒川温泉(熊本県)
コメント:別府の中でも鉄輪温泉の昭和感漂う町並みはよきですが、夕方頃にそんな町並みが落ちてゆく日に照らされる中、あちらこちらの排水溝から立ち上る温泉の湯気により一層ノスタルジーを掻き立られる風景が印象的で忘れられません。また地熱で思い思いの食材を蒸し上げる地獄蒸しのおいしさも忘れられない美味しさでした。また城崎温泉・黒川温泉はともに雰囲気のある川沿いのメインストリートを浴衣でお散歩できます。また湯巡り札もあって温泉をこれでもかと堪能できます。温泉街として完成されつつも、ある程度落ち着いたいい雰囲気が醸成されているところが好きです。

景色が好きな温泉トップ3
1位:伊豆大島温泉 元町 浜の湯
2位:銀山温泉 銀山荘
3位:土肥温泉 たたみの宿 湯の花亭
コメント:1位は離島ですが、この立地だからこそ晴れた日には海をはさんで熱海~東伊豆の町並みや富士山まできれいに見渡すことができます。※浜の湯さんは混浴の日帰り温泉です。水着を着用しないと入れませんのでご注意を。2位は銀山温泉ということで雪景色ですが、寝湯で寝ころびながら雪景色をいつまでも堪能できるお風呂がよかったです。3位は何と言っても駿河湾に沈む夕焼けですが、お風呂の床が畳になっているのも面白くて印象的です。

好きな温泉宿(敬称略)
1位:麓庵 民宿たきざわ(岐阜県奥飛騨温泉)
2位:祖谷の宿 かずらや(徳島県祖谷温泉)
3位:広瀬館(新潟県月岡温泉)
コメント:たきざわさんは穂高岳の麓にある古民家をリフォームされた宿で、山間の静けさに加えて年代ものの趣を感じつつも、中は綺麗な設備で快適な時間を過ごせます。旧古民家ということもあり、宿泊客数が限られるのもよし。また2つある貸し切りの温泉も広くてのんびりできます。たきざわさんとかずらやさんはともに地元の清流を感じられる川魚や蕎麦をはじめとしたとびきり美味しいご飯を落ち着いた空間で食べられるし、オーナーのホスピタリティもすばらしいです。広瀬館さんも部屋数が限られていて落ち着いており、なおかつ部屋食ができるのがとても嬉しいです。どこもお気に入りすぎて本当は教えたくないくらいです(笑)

アクセスが大変だった温泉
1位:新玉川温泉(青森県)
2位:祖谷温泉(徳島県)
3位:足摺温泉(高知県)
コメント:1位と2位は冬季のアクセスになります。新玉川温泉は国道341号の一部区間が冬季通行止めとなる影響により自家用車では到達不可能で、田沢湖駅からだったと思いますが、一日数本のバスでしか行けないという代物でした。
また祖谷温泉は徳島の山間にひっそりとそびえる温泉郷です。大歩危峡を抜けると雪の気配を感じ、祖谷トンネルを抜けた途端びっくりするくらいの雪が積もっていました。徳島県に雪のイメージがないために旅行客がノーマルタイヤのレンタカーで訪問して、細い雪の峠道でスタックしてしまうことが度々あるそうです。私は事前にその情報をキャッチアップしていたのでスタッドレスタイヤでしたが、それでも宿前の急坂を上りきることができませんでした。
足摺岬はシンプルに遠かったです。ただ私の宿泊した足摺国際ホテルは太平洋が一望できるのと、スターウォッチをやっておりそこで見た秋の星空がとても印象的でした。

番外編
行ったことないけど行きたい温泉
1位:七里田温泉(大分県)
2位:益富温泉(山梨県)
3位:豊富温泉(北海道)
コメント:どれも日本一とも言われる源泉です。日本一の炭酸泉、七里田温泉。日本一の放射能泉、増富温泉。日本最北かつ油分豊富な奇跡の湯、豊富温泉。
今回も読んでくれてありがとうございました。
よーく
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