さて岐阜旅二日目は美濃路ということで、美濃を堪能します。
朝風呂と朝食バイキングという貴族な朝活を堪能したのち、十八楼さんを出発です!

棟内のあちこちに戦火も逃れたその歴史が記されていました。
日本の真ん中から
十八楼さんから出るとすぐに鵜飼の建屋がありました。長良大橋をくぐると桜も見えます。
私は鵜飼を見たことはないですが、鵜飼の船と桜と、長良川らしい春の風景なのでしょうね。

その後、目と鼻の先の金華山、さらには岐阜城にも登りましたが、今回は割愛します。
この岐阜旅、これから紹介するトピックが特に印象的でそちらを優先したかったためです。もちろん金華山ならびに岐阜城天守から眺める濃尾平野の風景もばっちりよかったので、次回かどこかで触れたいと思います。

岐阜のマチュピチュとの出会い
実はgoogle mapで岐阜県をバーチャル旅行していた際に偶然見つけて以来、ずっと気になっていた場所にようやく行くことができました。その名も「岐阜のマチュピチュ」。

どうでしょう?
私は興味を引くいいセンスだなあと思いました。と同時に「厚かましいわ(誉め言葉)」とも心の中でツッコんでいました。(笑)
まあ私的には、これが実際にマチュピチュかどうかなんてどうでもいいのです(笑)
失礼かもしれませんが、知らない人はほぼ全員がツッコんでしまいますよね。
「岐阜でマチュピチュ???」「そんなわけないやん(笑)」
ここまで命名者の掌の上なのです。私はまんまと踊らされてみたくなりました。
実際に光景を見てこの愛称をつけたセンスといいますか、その売り方も含めておもしろいのです。さらにその土地にはどのような文化が育まれてきたのか。そこにいらっしゃるのはどんな魅力がある人なんだろうか。
僭越ながら私の見込み通りとても良い場所だったので、旅を終えて落ち着いた私はこの天空の茶畑について発信しなければという使命感に駆られています。
揖斐の地へ
岐阜のマチュピチュへ向かうため、岐阜城周辺観光をほどほどで切り上げてJR岐阜駅まで路線バスで戻ります。目的地の最寄りは養老鉄道揖斐駅です。養老鉄道の乗換駅である大垣駅までJR東海道線で向かいました。
さあ養老鉄道です。接続の都合上どうもゆっくりとお昼ご飯を食べている時間はなさそうなので、コンビニでおにぎりだけ確保して揖斐行きに乗り込みます。


ちなみに反対ホームは養老鉄道の反対側終着点である三重県の桑名です。
平日の昼間ということもあって車内の人はまばらです。
大垣駅を出てから40分くらいでしょうか。揖斐駅に到着しました。

揖斐駅に降り立ち、ほどよく古びた小さな駅舎内を歩く私は嫌な予感が当たりました。
駅から目的地まではある程度舗装されているとはいえ、片道が10km程度でおよそ300~400mの標高差もあります。当初の予定は、駅のロッカーに上着やPCなど大きな荷物を預けて身軽に自身の足で向かう想定でした。ざっくりと片道2時間も見積もれば往復くらいはできると思っていました。これは揖斐駅から茶畑のある春日地区へ向かう乗合バスの本数が少ないため、今回は使えなさそうというところまでは調べていたためです。
しかしながら田舎らしく駅舎の3分の1から半分程度を占めるのではという大きな待合室のみでロッカーはありません。調べておけば大垣駅で準備できたのに…どうしようかなとふらついていたところ、観光案内所がありました。荷物預かりだけでなく、レンタルの自転車があるようです。これは観光の拠点としてありがたいです。

揖斐駅の観光案内所「NPO法人 いびわんすと」です。中にいらっしゃったスタッフのおじさまに相談してみます。
「レンタル自転車借りて茶畑の方に行きたいんですけど…17時に閉店されるんですよね。間に合いますかね?(いま13時過ぎ)」
「自転車使ってか、お兄さんなら若いからぎりぎりどうかなあ…」
ここまで聞いておいて行かないという選択肢もありません。というかこのチャンスを逃すと大きな荷物を抱えてお日様の下で急坂を歩くか、預けたとしても荷物を人質に必死に走らないといけません。
私は一瞬だけ考えるふりをして覚悟を決めました。
「自転車レンタルさせてください!あと荷物預かりも!」

いざ天空の茶畑(マチュピチュ)へ
案内所でいただいた地図がこちら。いちいちスマホ見なくてすむのは助かりました。地図を握りしめながら自転車に乗っていたためクシャっとなっています。こういう汗がしみ込んだ地図やパンフレットは大切な思い出になりますよね。自宅でもいくらか保存していますが、また一枚宝物が増えました。

長良川、木曽川とならぶ木曽三川の一つ、揖斐川は岐阜県西部、福井県との県境の冠山を源流とするようです。濃尾平野の西側を流れ、三重県桑名市で長良川と合流し伊勢湾に注いでいます。またwiki先生によると、この冠山は揖斐川だけでなく、福井県を流れる名川九頭竜川の支流である足羽川の源流でもあり、冠山峠がその分水嶺となっているそうです。
揖斐川はこの岐阜県揖斐郡揖斐川町脛永(はぎなが)という土地で支流の粕川と合流します。今回行くのはその粕川上流方面です。粕川にかかる脛永橋を渡って左折、河川敷を上流へ進みます。
電動自転車なのでスピードが出ることもありますが、山からの風が吹きつけます。上流である山の方へ向かう私にとっては向かい風になります。しかしながらこの恵まれた光景の前には大した障害になりません。粕川沿いは桜も見られます。お天気も良く粕川のせせらぎを聞きながら上流へひた走ります。


ほどなくして山へと入り、細かなアップダウンが続きます。そしてチェックポイントである内藤酒店様の角を内に入っていきます。今思うと春日地区の郵便局のあたりから登るルートもありそうですが、大人しく慎重にルートから外れないように走っていきます。
その後少しだけ下りを挟むのですが、下りがあれば登りもありますよね。もらった地図にも記載のある「8%の急勾配」のエリアが近そうです。そして「天空の遊歩道」の文字が出てきました。ここから天空に向けて標高300m以上を一気に駆け上がります。マッスルミュージカルの幕開けです。
暑い…!
電動とはいえきつい…!
太腿が悲鳴をあげている…!
いや、これは成長を確信する、歓喜の声に違いない…!(意味不明)
ある程度行くと眼前に茶畑が広がります。目的地が近くなってきたことを実感します。

しかしまだまだ急勾配の上り坂は続きます。
意地でも自転車から降りずにこぎ続けます。目的地が間近です。
今回のサイクリングルート、マイマップも作成してみました。
需要があれば公開も考えようかなあ。

天空の茶畑にて
顔を真っ赤にしつつ、到着!
奥には車を止められるスペースがありました。おそらく車でいらっしゃる方が多いのでしょう。

疲れ果てた私を迎えてくれた地元のおじさまは仰られました。
「ほんとにこんなところまで、ようこそいらっしゃった。」
此方のおじさま、一見無骨にも見えますがお話してみると気さくで、楽しそうにげらげらと、くしゃっとした笑顔が印象的です。立場については何も聞きませんでしたが、ずっと入り口に立っていらっしゃるのでこちらのスタッフの方なのかなと感じました。

私が荷物を下ろして休憩していると、何も言わずとも天空の遊歩道内の散策マップを渡してくれました。
「ありがとうございます!(そうか、ここから歩くんだな…)」
無の感情でそんなことを考えながら、また思い出のつまった地図が一枚増えました。

おじさまは桜とコブシの違いを丁寧に教えてくれました。私の目が節穴でなければ写真はほぼすべて桜のはず。。。
また絶景ポイントに向かうその入り口にはキッチンカーがありました。「ハートkoyaカフェ」というそうです。こんな暑い日の渇いた身体には最高ですね。この春日地区のお茶を使用した商品がメインのようです。周囲には広々としたベンチやブランコがあり、そこそこの数の人がゆっくりと疲れた身体を癒すことができそうです。

キッチンカーで働くお姉さんとも楽しくお話しました。
「えぇ、自転車で!?それはおつかれさまでした。電動とはいえ大変だったでしょう。」
お姉さんはひとまず私を労ってくれます。やはり気さくで、私の関西人らしい会話のテンポを苦にせず、テキパキと注文の品を作ってくれます。
「ここからの上りも結構ありますけど大丈夫ですか?しんどくってもう来たくないなんて言わないでくださいね~」
「大丈夫です!長距離で鍛えられてるので朝飯前です!」
「朝飯前(笑)」
話を聞いていると、ロードバイクでいらっしゃって、バイクを担いだまま展望台まで歩く猛者もいらっしゃるのだとか。やはりロードバイク乗りは別次元だと思います。
(うーん、自分もまだまだ。電動は甘えか…)
どうもここ春日のお茶は爽やかな苦みとお茶らしい香りの強さが特徴と感じました。
知覧茶のようなふかーい甘味とは異なりますが、こうしてスイーツと直接合わせるならばナイスフィットな気がします。クリームや黒蜜の甘味とよく合っていて、クリームが得意ではない私でも美味しく食べることができました。

束の間の休息でしたが、心身ともにがっつりリフレッシュして再び歩き出します。
ここからは未舗装の山道です。
しばらく歩くと分かれ道が。どちらでも行けるのですが、なんとなく調子に乗って近道を選びます。

道と言っても階段になっているわけでもなく、先人が踏みしめた跡を滑らないように歩いていきます。
うーん、やはりきつい。
勾配と足下はきついですが、そこまで長い道のりではありません。息切れしつつも絶景ポイントに到着!

写真はB地点のものです。若干上にあるA地点の方が私は見晴らしがよくて好きですが、そちらはタイトルのアイキャッチをご覧ください。
ここで満足してもよいですが、がんばって早めに来たのでまだ時間があります。
さらに登ると岐阜方面が一望できるスポットがあるようです。事前に口コミを見ているとネガティブなことが書かれていましたが、ここまで来たら自分の目で見に行きましょう。しかしここからビュースポットのある林道までの登りが地味に長く、午前中に金華山上を歩き回った足には効きます。いつまでも続きそうなくねくねとした人ひとり分の細い道を登って、なんとか到着しました。


岐阜方面を一望…?確かに岐阜方面を一目で見ることはできます。まあこれ以上は野暮ってもんです。
ここまで来た達成感でかみしめたくなるものがありますね。
さあ帰りましょう。
後から来た方とも「登り結構しんどいですね」なんて会話を交わしつつ戻ります。急勾配なので滑らぬよう気を付けつつ。
茶畑まで降りてきた私、キッチンカーのお姉さんにもただいまの会釈をしつつ、私を出迎えてくれたおじさまに話をしてみました。こんなところで茶畑を営み、素敵なネーミングセンスで町を売っていく経緯とか、そこが気になっていたのでした。茶畑は鹿児島や静岡など比較的温暖な気候で栽培されるイメージがあります。
「なんでここで茶畑なのでしょう」
「わからん(笑)ただ先祖は(この土地は)土壌が悪くてお茶以外はあかんかったと言うとる。お茶は木(で育つ)だから、土壌が悪くても育つ。」

おじさまの仰られた「土壌が悪くても」という意味は、お茶の木は根っこが長いので栄養の少ない土壌でも栄養分を吸収できるという意味なのでしょう。また根っこが長いということは、山の表層崩壊の防止効果も考えられます。
この土地一体でお茶が栽培される理由についてはなんとなく腑に落ちた私は帰路につくのでした。
「楽しかったです。景色もよかったし、また来たいです」
「こんなところだけどまたおいでください」

(撮影許可いただきありがとうございました)
濃尾平野の春

帰りはすいすいでした。
借り物で信用しきれない自転車なので速度は控えめにしつつ、すいすいと山間を下っていくのでした。
行きはしんどい、帰りはすいすい。
自分がいかに上ってきたかを実感します。

山から再び濃尾平野に出ます。
揖斐駅に向けて揖斐川の支流である粕川沿いをひた走ります。

揖斐川町黒田のあたりは両側に桜満開ロードです。
道端の菜の花、たんぽぽ、両脇に満開の桜。なんと贅沢な春の光景でしょう。
この光景、来るときに見かけたので知ってはいたのですが、時間の不安もあったので往路は見送っていました。復路では二周ほどして西濃の春の陽気を全身に浴びて帰路に就くのでした。

今回も読んでくれてありがとうございました。
よーく
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