美濃路・飛騨路(飛騨路編)

旅行記
飛騨路をゆく特急ひだの車窓からの一枚。古来より飛騨川の存在が大きかった地域なのだろうと感じます。

 「飛騨路」という大層なタイトルをつけていますが、岐阜市内から下呂温泉に行っただけです(笑)。しかし飛騨路のリアルな魅力が伝えられるようにレポートを書いてみました。

名古屋の朝といえば

 当日は朝から名古屋入りでした。せっかくの早朝名古屋なので、モーニングしたいところです。
しかし次の予定もあるため、近場でオープンも早いBUCYO COFFEE様でさっくりと。
注文したのは磯辺焼きトーストとブレンドコーヒーのセット。半年ぶりでしょうか。前回来た時より値上がりしましたね。

磯辺焼きトーストとブレンドコーヒー。ここのコーヒーはとにかく濃くて目が覚めます。

 BUCYO COFFEEさんは二度目なのですが、すっかりこの磯辺焼きトーストの虜です。
当該ホットサンドの中身はというと、パンにしっとりしみ込んだたまり醤油/海苔/チーズ/海苔/たまり醤油のハピネスレイヤー構造(伝われ)。私はこのホットサンドを飲み物でも飲むかのように、ものの数分で食べ終わります。これでもゆっくり食べたのです。おいしすぎただけです。

たっぷりチーズに溺れる!

飛騨路

 開店待ちした割にはあっさりと食事を済ませるやいなや、無料のお代わりコーヒーも頼まず最速で店を後にします。JR名古屋駅まで10分くらいでしょうか。直前までどこへ行くか決めていなかったので、駅で切符を購入。

 誰にも気を使わない行き当たりばったりも一人旅のよさ、それでも収める気になればある程度形になるのがこのIT社会のいいところです。夕方以降岐阜で用事があるため、特急ひだをしっかり使い、この6時間程度で下呂温泉往復を決めるのでした。

岐阜駅で特急「ひだ」に乗り換えて、下呂温泉へ向かいます。

 少しでも節約のために名古屋駅から岐阜駅までは普通電車で向かい、岐阜駅から特急ひだで下呂温泉へ向かいます。ひだの下り線では車窓からの犬山城や飛騨川に関する車内アナウンスがありました。これを聞くと一気に観光特急に乗った気がしてきてワクワク感が高まります。

 そして美濃太田あたりから木曽川に別れを告げて高山線、飛騨川の景色が始まります。特に上麻生駅付近の飛水峡を筆頭に車窓から見える景色がとてもすばらしいです。(私は強調表現を安易に使わないように気をつけていますが、これは使わざるをえない絶景でした。)

特急「ひだ」の車窓から見る飛騨川の光景。

 カメラを構えたまま車窓に張り付いていたいくらい、高山線の車窓から望む飛騨川の光景はよいものです。高山線は飛騨川に沿って山間を縫うように進んでいきますが、飛騨川の特徴は両岸に人間より遥かに大きなゴツゴツとした大きめの岩がゴロゴロ転がっていることです。今でこそ治水されて穏やかですが、飛騨川の水量が多い急流であることは想像に難くありません。また水質も見るからにきれいなため透き通って見えたりきれいなエメラルドブルーをしており、その鮮やかさに目を奪われます。

そんなこんなで車窓にかじりついているうちに下呂に到着してしまいました。名古屋からならともかく、岐阜からだとそんなに遠く感じませんでした。

下呂温泉

下呂温泉駅前

 下呂駅に掲示されるポスター。下呂温泉街に入っても様々なバージョンを目にしました。どのポスターもタッチは同じですが私は大好きです。どうやら窪之内英策さんという漫画家さんが2018年から手がけられているそうです。下呂温泉が美肌の湯であることから由来するのでしょうか、下呂温泉は恋する乙女の味方だと。「恋に効く温泉」という下呂温泉のキャッチフレーズと美人・美肌を連想させるイラストの繊細なタッチ、いいですね。

下呂温泉駅のポスター。
「「すき」ってあったかいと思う。」「恋に効く温泉」言葉とイラストのセンスが私のストライクゾーンびったびたに決まります。

 駅反対側へと進み、下呂大橋が見えてきました。川沿いには見事に桜が咲いており、これを傍目にまっすぐに橋を渡ることなどできません。これまで車窓から見ていた渓谷と言わざるを得ない険しい川幅とは打って変わって、下呂温泉付近の幅の広い河原へ降りていくと飛騨川沿いに下呂温泉の噴泉地がありました。河原で温泉が湧いているようです。お湯は肌温度より少しだけ高めでいい温度。
 飛騨川沿いは桜の写真を撮る方、足湯を楽しんでいる方、運動される方、お友達と花見をされる方、思い思いの時間を過ごされていました。

噴泉地は河原にあります。
下呂大橋から上流方面を望みます。下呂も桜が見頃です。

 下呂温泉は草津、有馬と並ぶ日本三名湯です。私は草津と有馬の経験が豊富なので、中心部は有馬と雰囲気が似ているなと感じました。飛騨川にそそぐこの水路(調べたのですが名前がわからず)と有馬川周辺、いかがでしょうか。お互いに山も近いですしね。

江戸時代初期の儒学者、林羅山先生像。
詩集にて「下呂温泉を日本三名泉」と記したことを顕彰して設置されたとのことです(下呂温泉観光協会HPより)。

 次に下呂温泉中心部の坂を上って温泉寺へ向かいます。おぉ、インパクト強めの階段ですね。日差しもあり汗をかきそうですが、これくらいなら行ってみましょう。お寺境内は御朱印などが販売されていますが、電子決済も対応していることから運営に若い世代の手も入っていることがわかります。またこちらでは下呂温泉の中で使えるクーポンも配布されており、ありがたーく頂戴するのでした。

温泉寺へ続く階段。173段あるそうです。
温泉寺本堂、中に入ることもできます。
温泉寺境内から背後には下呂温泉街を見渡すことができます。

 温泉寺を降りて北へ向かいます。道中に見つけた下呂プリン。かわいいカエルが目を引きます。さらにこの暑い日に涼しげなメロンソーダゼリーが私の目をくぎ付けにしました。

下呂プリン外観。

 下呂プリンでは下呂プリンメロンソーダ味とカエルの人形、特製ポーチを購入しました。カエルがあまりにキュートなものでつい手が出ました。プリンはカラメルのないやわらかでシンプルなプリンです。メロンソーダはクラッシュゼリーになっていました。
「思ひ出の味」うん、こういうのでいいんです。

下呂プリンメロンソーダ味とカエル(別売)

 注文を並んで待っていると、中から出てきた地元の業者さん?と思わしき方に「ちょっと前入っていいですか?」と突然聞かれました。意味が分からず「なんでですか?」と聞き返すと、「あぁ、じゃあいいです」といいながら最後尾に並ばれました。
 「なんじゃそれ。後ろに並んでいる人もいるのに説明してくれよ。横入するにしても関係者として別口で処理してもらうべきでしょうに。なお店側は知らんぷり、拒否した私の器が小さいみたいじゃないか。」こんなこともちろん口には出しませんが、気分が悪くなりました。下呂温泉で唯一といっていい残念な思い出です。

 ここでお断りです。私はもちろん各地方の魅力を発信していきたいですが、いいところだけを切り抜くつもりは毛頭ありません。今回の件は私の運が悪かっただけかもしれませんが、悪いところは悪いで、各地域の現実であり実力と思います。これからもリアルな魅力を伝えていきます。

 その後、日帰り温泉を「下呂温泉 クアガーデン露天風呂」さんにて。こちらは日帰り専用の施設で、洗い場から湯舟まですべてが飛騨川に面した開放的な露天風呂です。なるほど、pH8.9のアルカリ性単純温泉。アルカリ性のお湯は古い角質を取り除く効果があることから、美肌の湯と言われています。しかしながら肌の油分も奪ってしまうため、入浴後は直ちに保湿を心掛けるようにしてくださいね。
 私は壺湯で桜と飛行機雲をぼーっと見上げながら一時間弱浸かっていました。ずっと見ていたくなるよい光景でしたが、さすがにお風呂でカメラは回せないので、お風呂からあがってから川沿いまで降りて桜を見ました。

クアガーデンさん外観。
クアガーデン前の桜、あまりお風呂に近づきすぎると危険なので少し離れていますが、お風呂からも見えていた桜です。

 その後も散策を続け、お昼ご飯は温泉街中心部に戻って「山びこ」さんへ。
私の座る席以外はにぎわっておりましたが、幸いにも待たずに入ることができました。

「山びこ」さんでお昼ご飯。蛙に緑のさるぼぼがいい味出しています。

 私は川魚定食をオーダー。ここで川魚はいわなの塩焼きとあまごからあげです。ふわふわのあまごのから揚げでビールが進む、身のしまったいわなを頭からかぶりつきご飯も進みます。ああ美味しい。
地味にきなこのお団子もやわらかもっちもちでした。飛騨牛の朴葉みそ定食やけいちゃん定食、なすの丸太焼定食など他にも美味しそうなメニューがあったので、下呂温泉に再訪の際はまた訪問したいと思います。

川魚定食

 その後も下呂温泉を散策し、気づいたらシンデレラタイム。お土産も眺めつつ、帰りの特急には出発ギリギリで飛び乗りました。帰りも車窓にかじりついて写真を撮ります。行きにも撮ったじゃないかって?帰りとは向きが違うから別物です。

帰りの車窓からの写真。きれいな水とごつごつした岩肌とのコントラストがザ・渓谷美です。

長良川

 さあ岐阜に戻り次の目的地へ。この日は長良川野球場でプロ野球が開催される日でした。
そう、友人からこの試合に誘われていたのでした。地方球場は年一のお祭りとでもいうべき雰囲気。特にこの球場は外野席の大半が芝生席なので、家族連れで準備してきたお弁当をつついたり、特に子供の声援が地方のお祭り感を掻き立てます。試合後半は雨が降りつつ、延長戦にも入りましたので途中で退散。

岐阜県長良川球場。プロ野球、中日-広島の試合が開催されました。

 この日の宿は長良川沿いにある十八楼さんでした。
長良川にかかる長良橋を歩いた際に見えた夜景が美しかったので思わず写真を撮りました。画面右からの強い光は球場のナイター設備の光害です(笑)。正面奥に見えるは金華橋方面の明かり、左側にひっそりとしているのは川沿いに並ぶ長良川温泉旅館の灯と鵜飼の屋形船でしょうか。そしてそれらを写す落ち着いた長良川の水面。見事です。

このあたり 目に見ゆるものは 皆涼し

 1688年、松尾芭蕉はこの地でこの句を詠みました。私は芭蕉先生ほどの才能は持ち合わせていませんが、現代でもその感動の一端がこの写真からも伝わる気がしますし、読者の方にも伝わっていればいいなと思います。

長良橋の中央付近から西向きにパシャリ。

 十八楼さんは、かつて織田信長が居を構えた岐阜城のある金華山の麓に位置する長良川温泉にあります。長良川温泉は単純鉄冷鉱泉という泉質区分です。源泉の湧出温度が16~17℃ということで温泉ではなく冷鉱泉に区別されます。誤解してほしくないのですが、この温泉・冷鉱泉というのは源泉の湧出温度をもとに温泉法上で定められるただの区分です。地中から湧出するこのどちらにも溶存物質が含まれています。
 この長良川温泉の源泉は空気に触れると赤褐色に変色する珍しい源泉のようです。ちなみに私は花粉症で鼻が詰まっており全然わからなかったのですが、若干の鉄や硫黄の香りが認められるそうです。

夜間の十八楼さん正面玄関。さすが歴史ある4つ星のお宿です。
長良川の川岸の風情をそのまま取り込んだような趣。その雰囲気はこれまで国内外多くの人を魅了してきたのだと思います。

 レポートは早めに上げようと思っていたのですが、温泉に入った後は疲れ果てて眠ってしまいました。二日目(美濃路)につづきます。

今回も読んでくれてありがとうございました。

よーく

 

下呂温泉内での移動経路

今回お世話になった店舗はこちら(敬称略)。

BUCYOコーヒー

温泉寺

下呂温泉プリン

クアガーデン

山びこ

十八楼

よーく

遊びにも手を抜けない不器用者。
国内の温泉旅行好きをこじらせ、温泉ソムリエを取得。
20歳台中盤で全都道府県を踏破、最近は島旅を模索中。
ウルトラマラソン完走が当面の目標。

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