胃から汗をかく -その1-

アクティビティ
夏バテ?気だるい身体を引きずって竹芝へ。

 2年前の夏も本格化する7月下旬の夜、なんとか仕事を終えた私は勢い任せに竹芝から東海汽船の客船に乗り込みました。夏の海沿いは夜とはいえ湿度の高さでなにもしていなくともじんわり汗ばんできますが、この日は幸い若干の風があり嫌な感じはしませんでした。

 人生でも何度目かになる船旅、二度目のさるびあ丸ということもあり、勝手知ったる顔で乗り込み船内の階段を降り最安の和室二等客室へと乗り込む私。和室二等客室とは気持ち程度の衝立で各々のスペースが区切られた雑魚寝部屋です。最安に相応しく展望窓などの設備はもちろんありませんし、下層にあるためエンジンの振動すら割とダイレクトに感じることができます。

 無事に出航すると、早速スタッフから有料の毛布を二枚拝借して寝る準備を我先にと整えます。下に敷く用と身体にかける用で二枚です。この時のマイスペース、マイペースの確保がケチ船旅では命とり、運悪く巨漢が隣に配置されていびきでもかき始めようものなら最悪の事態です。私の動きをまねるように毛布借用や寝支度を始める他の乗客たち。彼らを傍目に若干の優越感を抱えながら一足先に眠りにつきました。

 私が向かったのは、幾度にも渡る火山噴火という大地創造の営みを乗り越え、外海によって隔てられた厳しい環境下、長い年月を経てその独特の自然と文化が育まれた有人火山島。住所登録では「一応」東京都になっている、東京都大島町。そう、伊豆大島こそが今回紹介する舞台です。

 結局客室の床が固いため3時間程度しか眠れなかった私。しかし幸いにもこの伊豆大島というのはぎりぎり相模湾に収まるか収まらないかという場所にあります。要は関東本土から近いためにあっという間に到着してしまうのです。大型客船だと4~5時間程度でしょうか、高速艇であるジェットフォイルなら1時間45分と公式HPには記載があります。そして熱海港からであればなんと45分で結ばれてしまいます。ほどほどの睡眠をとりつつ、下船後の動きに向けて着替えなどを済ませているうちに伊豆大島の北側、岡田港に到着。大きな島ということもあって、それなりの数の人が下船していくのでした。

 下船した周囲の人々は皆グループです。気持ちも高ぶっているのか、めいめいに賑わっておりました。朝5時前ということで、本土の住宅地であれば大迷惑ですが、限られた本数しか本土との交通手段がない島です。近隣の方も土地柄慣れっこであるのでしょう。またこの時間ですが、岡田港の入口には各レンタカー会社や島内各地へ向かうローカルバスなどの看板をもったお出迎えの人々がいらっしゃいました。まあ地方空港でも見るような光景ですが、暗さも残るこの時間での賑わいに私は若干面喰らいました。そして私は最後方から慎ましく一人でバス乗り場へ向かいます。

 そもそも私はなぜ一人で伊豆大島に来たのでしょうか。

 そう、胃から汗をかくためです。

伊豆大島編、次回に続きます。
今回も読んでくれてありがとうございました。

よーく

東海汽船様のURL:https://www.tokaikisen.co.jp

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